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-DOMAINE YUMEMI-
夢 見 屋
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INTERNATIONAL vol.1
(1) 長堀通りから北へ4区画半、東西を阪神高速1号環状線に挟まれた長方形のエリアは、お洒落なカフェやレストラン、デザイナーズショップなど個性を売りにする店が集まる人気のスポットとして注目を集めている。 ここは南船場と呼ばれる町で、1984年に堂楽園ホテルが開業した頃は、控えめで奥ゆかしさを感じさせる静かな町だった。 最寄りの駅は、大阪メトロの御堂筋線の心斎橋駅と堺筋線の長堀橋で、長堀通りの南側は、心斎橋筋商店街をはじめ、鰻谷通りなど、多くの人で賑わう繁華街になっていて、このホテルの利用客にとっては、とても便利な場所にあると断言できるだろう。 このホテルの運営管理を行っているのは、株式会社日本都市開発クリエイトで、総工費25億円超を投じて、客室125とレストラン6店舗、大小の宴会を持つホテルとして開業した。 開業した当時の堂楽園ホテルは、シンプルさを前面に打ち出していて、スッキリ感が利用者に好感を与えて、次第にリピーターが増えてゆき、ホテルの業績も右肩上がりを続けていた。 だが、1990年代になると南船場にお洒落なカフェや個性的な飲食

夢見操一
12月3日読了時間: 13分
INTERNATIONAL プロローグ
プロローグ 2025年5月中旬。 紫外線が強まったせいだろうか、坂井琢朗(サカイタクロウ)の顔は小麦色に染まり、露出している肌も同じで、色だけで判断すると、ゴールデンウィークに沖縄でマリンレジャーを愉しんできたように見受けられる。 だが、坂井は沖縄には行っていない。というようりも、ゴールデンウィークも休むことなく作業を続けていて、余暇を楽しむ時間は無かったのだ。その作業とは、ワイン用ブドウの栽培管理である。 今の時期は、新梢が伸びて展葉し、花穂の成長も始まるため、花器の状態をチェックして、花器がつかなかった新梢と花器を摘み取る新梢を剪定し、花器を残した新梢を誘引するという作業を行っていた。 坂井がワイン用ブドウの栽培を始めてからもうすぐ丸5年を迎えようとしていた。 ブドウの栽培を始めた時は、ブドウの栽培管理のことをまったく知らないド素人だった坂井であるが、今では様々な作業にも慣れて、日々の作業に余裕さえ感じていた。 坂井がワイン用ブドウを栽培しようと思った切っ掛けは、学生のアルバイト時代から長きに渡り、ホテル業界の仕事に携わってきた

夢見操一
12月3日読了時間: 12分


INTERNATIONAL 序文
序文 「まさか、この国に、こんなとんでもないホテルが存在していたとは・・・」 1996年に発表された日本のベストホテルで7位にランクされた高級ホテルのことである。 私は1996年から1997年にかけて、このホテルに在籍していた。 その当時、私はこのホテルで自身に課せられた使命を全うしようと励んでいた。 だが、ある日。統括部長からこのホテルの裏の顔のことを知らされた。 私は自分の耳を疑った。 このホテルの従業員は、裏の顔のことを知ってるのだろうか? ごく一部の幹部だけが知っていて、他の従業員は知らずに働いているのか? それとも、裏の顏のことを知っていて、あえて口外せずに働き続けているとでも・・・ 「こんなことありえない!!!」 私の中で疑問だけが膨らんでいった。 私の中に棲みついた裏の顔が、私の意識を変えていった。 ベストホテルで7位にランクされたホテルに期待してやって来るお客様とは別に、裏の顔の繋がりでやって来る者たちがいることを知った。 さらに、私は裏の顔のことを知らいないふりをして、秘密裏に裏の顔をのことを知っている従

夢見操一
12月3日読了時間: 2分
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